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ヲタママ女医がいろいろ語ってみるか

普段はいたって普通のお医者さん、中身はオタク、一応ママ。少々腐ってます。

ネットでの医療相談

ワーキングマザー

 「医師」という職業を晒してブログやツイッターなどのオンライン活動を行っていると、必ずコメント欄に書かれるのが「医療相談」

 私が、ブログをやりつつも「専門分野」をはっきり書かないのは、自分の専門分野の症状(疾患)を持った患者さんはそれこそ大勢いて、でも病院に行くほどじゃないことが多くて、誰か気軽に聞ける人がいれば相談したいと思ってる人が沢山いる分野であるにもかかわらず、文章(症状)だけでその症状の原因を診断するのが難しく、コメント欄で相談されても困ってしまうから。

 

 つまり、「医療相談」に答えたくないんじゃなくて、顔の見えないネット上のコミュニケーションではプロとして正確な診断を下すことができないし、よいアドバイスもできないからです。

 

 私が、初診での診察時、患者さんをどこから診ているかを、以下にあげてみますね。

 

 患者さんを診察室に招き入れる前から診察は始まります。

 まずはカルテの名前、年齢、性別、時に住所。受付で渡した問診票に書かれてる字や内容。同じ症状であっても、年齢、性別だけでも、疑う疾患は違ってくるし、住所は病院の近所か、そうでないかを判断。遠くからわざわざ来てくださる人は、それなりの理由があることが多い(すでに他院で治療したけど改善しないとか、評判を聞いてとか)。疾患によっては頻回の通院治療が必要なこともあるため、住所で今後も通院可能かどうかもある程度読み取れる。

 問診票は、症状や既往歴がわかるだけでなく、文字が書けているかどうかや、文字の形はどうか。症状を細かく書くタイプか、おおざっぱに表現するタイプかでの患者さんの性格の違い。自分の既往歴、治療歴、他院での内服薬を把握してるかどうかなど、患者さんのインテリジェンスもある程度判断する材料に。

  その辺をちらっと数秒で把握して、次に患者さんを診察室に呼び入れます。 診察室に入ってきたときの顔、歩き方、表情、服装、姿勢、体型もチェック。お年寄りや子供なら、付き添いがいるかいないか、誰が付き添って来てるのか。一目見ればわかるこれらの情報を、ネットの向こうにいる方から読み取るのは難しいうえに、私の専門分野では、これらすべてが疾患を鑑別したり、治療する上で重要になってくるんです。

 

 そして、直接、本人から症状を聞く問診。

 いつから、何がきっかけで、どんな時にどんな症状が出て、生活するうえで何が困るのか。仕事(学校)には行けているのか、行けないほどなのか。問診の答えを聞きながら、頭の中では鑑別疾患を絞り込む作業に。

 

 ある程度話を聞いたら、体の診察。触らずして、正確な診断なし(当科の場合)

 身体所見を取り、診断をさらに絞り込む。そして、最後に検査結果(XPや採血結果など)を見て、その所見に矛盾がないかどうかを確認。問診、身体所見や初期検査だけでは最終判断できない場合、さらなる検査をオーダー。

 

  ざっとこれくらいは約5分程度の診察の間にすべて行っています。

 

 実際に会って、これだけの情報を収集しても診断がつかず、再度検査を繰り返したり、診断的治療といって、最も可能性が高そうな疾患の治療をやってみて、改善しなければ次の疾患を疑って治療をすすめていくことも。

 また、同じ疾患でも、上に少し書いたように、その人の置かれてる環境(職業や、年齢、家庭背景)や、症状の強弱に応じて治療法を変えることもあるし、その人の理解力や性格に応じて、受け入れられやすい説明をするようにしています。

 (説明時の相手の反応を見て、説明の仕方や数ある治療の中から選ぶ治療をかえることもあり)。

 

 どうです? 

 

 コレを顔の見えない、直接反応も聞けないネット上の文字のやり取りだけでやろうとすると、どれだけ時間がかかる事か。面倒くさ過ぎるんです。「〇〇の症状で困ってる」と聞けば、近くの〇〇科の先生に診てもらってください」というしかない。あと、画像所見が重要な当科では、それを見ないことには正確なことは言えません。

 

 最近は、自分の症状をネットで検索して、ある程度病名に当たりを付けて来られる患者さんもいます。

 先週の研究会で、わりとマイナーな疾患をあつかう病院のメンバーが集まった時に「研究会のホームページをみて、自分も〇〇の疾患に違いない」と、そのHPに載っている病院を訪ねて来た方で、本当に〇〇と診断できた人は半分かそれ以下位だったと、その疾患のTOPを走る病院の先生が教えれくれました。

 医療に詳しくない一般の方が、症状をネットで検索して病名にあたりを付けたとしても、その病名が本当に自分の症状の診断でいいのかどうかは、実際に医師に診断してもらわないとわからないと思っていただければ幸いです。診断がついたら、ネットでどんな治療法があるかを調べて、医師と相談するのはよいことだとは思いますけど。

 

 ネットで調べて情報を得やすい社会になったとはいえ、人間が相手の医療の分野では、Face to Faceに勝ることはない、というのが私の考えです。

 

 

 今日は、珍しく真面目に語ってみました。私は特別優秀な医師でもなく、上に書いたことはどんな医師でもやっていることで、わざわざ書くことでもないのかもしれませんが。

 

 あと、最後に。

 専門分野以外の医療相談は、もっと困っちゃいます。「内科」であっても、「循環器」「消化器」「内分泌」「膠原病」「呼吸器」等々、細かく分かれる上に、「消化器」でも、胃が得意、食道が得意、大腸が得意とかありますから。「〇〇科の医師」だからといって、その分野の疾患すべてに詳しいとは限らないんです。

  

 例えば、今週私が映画館で見た黒子のバスケウィンターカップ総集編~光と影~」

  (大好きな桐皇戦が大画面で見れて、凄く満足しました。最後、ハンカチもって泣いておりましたとも)

 同じ「黒子のバスケ」好きで詳しく知っていても、「青黒民」と「火黒民」、「光サンド民」では、好きな場面も語れる内容も全然違ってきますからね(と、この単語の意味が分かるかどうかも、ヲタクの中でも専門性が求められますがw)。

 話の大筋はかたれても、そのCPの解釈に詳しいかどうかは「専門違い」というわけ。

 じゃあ、どの医師に聞いたらいいの?と言えば、ヲタクはヲタクに詳しいし、医師は医師に詳しいのです。身近なところにいる話のしやすい医師に相談していけば、最初に相談したのが内科の医師でも、そこから他科の医師へ、その医師からさらにその疾患に詳しい医師へ繋がることができます。

 相談すべきところは、顔の見えないネット上の医師でなく、身近にいる医師ということだけ、この記事を読んでわかっていただければ嬉しいな。