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ヲタママ女医がいろいろ語ってみるか

普段はいたって普通のお医者さん、中身はオタク、一応ママ。少々腐ってます。

「コウノドリ」17巻

コウノドリ

 何かと慌ただしい年度末、はっと気が付いたら、「コウノドリ」17巻、本日発売です。

 少し前に、16巻感想書いた気がするって思ったら、もう17巻ですよ。週刊連載の3か月毎の新刊ペースに、読者である自分の体がついていけてません。

 毎週連載する作家さんって、ほんと凄い。

 少し前、「中川いさみのマンガ家再入門~38話~」で、鈴ノ木先生が登場されてました。医療漫画は、取材や専門用語の理解が大変なのに、ほぼ休まず毎週描かれていらっしゃるのは凄いとしか言いようがないし、休みたいとあまり思われないのは仕事のない時代に奥様と苦労されたからなのでしょうか。「何にもない時代を知ってるからこそ、何にもないことの怖さがわかる」のかなって。

 でも、体を壊したら元も子もないので、読者としては適度に休みを取りつつ、描き続けていただきたいです。


 と、毎度毎度前置きが長くてスイマセン。

 早速、17巻の感想いってみたいと思います。

 

 ネタバレ気にせず書きますので、未読の方は注意!!

  表紙は、双子(?)を抱いて笑顔のサクラ先生。幸せいっぱいそうですね~。ツンツンしたパートナ―との関係も良好なのかしら(注:私の妄想です)。双子の赤ちゃんのお世話は大変だろうと想像しますが、色違いのお揃いの服とか着せるのは憧れますね。街ですれ違う双子連れのお母さんみると、エールを送りたくなるし、お揃いの服着た双子ちゃんは素直に可愛い~って見てしまいます。

 

 

 17巻は、まるまる「離島医療編」。

 産科だけではなく、人口の少ない過疎地の医療の現状が描かれています。ペルソナ病院以外が舞台になるのは、はじめての試みじゃないでしょうか。

 モデルは、島根県隠岐の島。実際に取材に行っておられて、登場する先生、島の消防士さんやおばあちゃん達、助産師さんすべて実在のモデルがいらっしゃるそうですよ(と、事情を知る夏コミで出会った方にお聞きしました)。私も学生時代「隠岐の島」に行ったことがあります。海が綺麗で、魚が美味しく、のんびりしていて、居心地の良い島でした。街並みも漫画に描かれてるのとそっくりで、フェリーに乗ったゴロー先生が港に着く場面で「あ、これ隠岐だな」ってすぐわかっちゃうくらい。

 次に行くときは「コウノドリ17巻」片手に、聖地巡礼したいものです。

 

 話は、ペルソナ院長の友人の離島の病院に、ゴロー先生が研修に行くところから始まります。

 都会っ子のゴロー先生が、ド田舎の病院や外来の患者さんの様子にびっくりしてるのが微笑ましいですね。私にとっては「あ~あった、あった」が満載。

 ここのエピソードは、自分がもともとは地方の人口過疎地出身で、研修医時代に大学医局から派遣された病院も似たような感じだったので、懐かしく読んでました。医師官舎が家族用で、独身なのにゴロー先生みたいに築50年位ありそうな3LDKの一軒家になった事も。庭もあったし、待機の時、することも行くところもないから(街にコンビニなし、居酒屋が数件みたいな)、庭で家庭菜園したりしてましたね~。あとネットはできたので、それで外部と交流を図ったり。

 結局3LDKあっても、一部屋をワンルームのように使い、後はすべて物置部屋でした。

 こういう過疎地の病院は、患者さんも少ないし、医師も少ない。専門科だけ診てればいいとも言えません。当時の私は、外科系の科であったこともあり、皮膚科の先生がいない時に代務で皮膚科外来したり、眼科の先生がいない時に眼科外来したりしてたこともありました。それこそ、各科担当の看護師さんに助言してもらったり、教科書をみたりしながら。

 都市部の、各科揃った総合病院でこんなことしたら、怒られそうですが、過疎地では専門でなくても、ある程度の処置はしなければならないのが現状です。

 一つの科でも、さらに細かく分野が分かれているように、今、医療はどんどん複雑化して、高度になってきています。もはやすべての領域を、1人がカバーするのは不可能。田舎の病院すべてに、各科専門医を置くことも不可能(人員や予算的に)。

 そんな中、作中に書かれてるように地域を支える「総合診療医」の必要性が叫ばれてますが、今の専門バカの自分が、さて「総合診療医」になれるかというと、はっきり言って自信がありません。

 例えば当直で診た患者さんで、一般的な治療はしたものの、専門医レベルの診断、治療をしなかったといって裁判に負けた場合を考えると、「専門分野」でもない疾患を診るのは正直怖い。そういう意味で、総合診療医はどこまでの診断や治療をしたらOKということも国がある程度決める必要があるのではないでしょうか。それが曖昧なままでは、総合診療医を目指す医師は増えないんじゃないかなと、私個人は思います。

 さらに患者さん側の方も、診てもらうなら専門医がいいという方も多いですから、医療者側だけでなく、患者さん側の理解も必要になるでしょう。

 まずは総合診療医の先生に診てもらって、それから必要と判断されたら専門医に。本来その流れの方が、大病院に患者さんがあふれるのを減らせるし、専門の先生は専門に集中できて効率はいいんでしょうけどね。相手はどっちも人間、機械のように効率化が図れるとは正直考えていません(英国のように、まずは家庭医→専門医の制度がある国もありますが、必ずしも患者さんの満足度が高いわけではないようです)。

 

 と、地域医療についてはついつい熱く語ってしまいがちなので、この辺で割愛しておきますね。

 白井院長が作中で「面白いからやってる」「私生活が充実していなければ島の患者さんを診ることができない」と言われて、これには納得。国が強制的に「総合診療医」を増やそうとしても、今の若い方が喜んで過疎地に行くとは思えません。「総合診療医」の面白さ、そしてその地域で生活する魅力、またはそれなりの報酬やステイタス、そういうものが揃わないと人の心って動かないものです。実際、島や僻地にとどまるドクターは、趣味が「釣り」とか「スキューバーダイビング」とか「スキー」「山登り」の事も多いですからね(自分の知る範囲では)。

 

 私らしくなく、まじめに語りすぎて疲れたので、私らしい閑話休題

 

 17巻のハイライトと言えば、笑顔から一転、般若の表情の四宮ハルキ。やる気のない研修医に「今から内診台上がって足広げてみるか」って。あの台に上るのって、結構勇気いりますからね(そういえば、ドラマで四宮先生役をされていた星野源さんも、内診台体験されてましたねえ~。その勇気、ナイスです)。妊娠して、内診台にはじめて上がった時の私の感想「うわ~思った以上に足が開くな、股がすーすーする!」でしたから(笑)。

 そして、研修医時代のサクラとハルキも、小松さんに内診台に上らされていたという事実まで発覚!!ほ~~~~~~~~~!推しCP二人が、内診台にのぼっていたと知った、腐った私はどうしたらいいのでしょう~~~~。とんでもない爆弾投下をありがとうございます。私の腐った脳で適宜処理しますので、モグモグ(←美味しく頂いているところ)。

 

 以前登場した、あの子の再登場もビックリでしたよね。もはやこれは、三崎ちゃんとゴロー先生は運命なのではと。頭の中でリンゴーンって鐘の音が鳴りました(男女CPも大好き)。

 ゴロー先生と三崎ちゃんがこっそり連絡を取り合って愛をはぐくみ、実家の産院を継がずに島に戻ったゴロー先生と三崎ちゃんが再開して、イチロー先生とマキさんみたいに二人で島の医療を支えていく、そんなドラマ(もとい、妄想)を感じさせつつ終わった17巻でした。

 

 過疎地域医療の現状、そこで働く医師や医療スタッフの気持ち、住むひとの覚悟、そんなことを考えさせてくれた「僻地医療編」。いつものコウノドリとはちょっと違うけれど、それも新鮮で楽しいですよ。おすすめしますね!